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「金工独修書」西洋の金銀製法

ファイル 121-1.jpg
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ファイル 121-2.jpg また欧米などで用いるものは第6図に示すようなもので、これはその断面図である。
図中アは鉄製の缶で、内面は烈火に耐えられるように泥土をおよそ三拇(「手偏に母」ぼう・・・親指3本ほどの厚み=一般にcmセンチメートルを表す)ほど塗布したもので、ウ・イ・ケの三扉を備える。この三扉は内部の温度を変化させるために使うと共に、ウ・ケは炭を投入するのに使い、イは第8図の熔融室を入れるのに使う。キは空気を流通させるためと灰を除去するために使う。
ファイル 121-3.jpg ファイル 121-4.jpg
第7図は粗鬆(そしょう・・・素焼きのような多孔質)の物質で作った器で、洋名ではこれをカペルレーと称し(カペルレーは獣骨で作ったもので(羊骨を最上とする)これを作るには白骨(生の骨の時は熱湯で数回煮沸して脂肪や膠質を除去して使う)を、穴を空けて空気が通るようにした土製の坩堝に入れて良く焼き、灰になったものを取り出して乳鉢に移し乳棒で良くすり潰して細粉にする。これに水適量を注いで練り、さらにその面に乾燥した骨灰末を塗布して、型に程よい力で押し付けて約15日間放置して乾燥させる)この中に鉛と銀合金を入れて第8図の熔融室(西洋ではモッフルと呼ぶ)の中に収め第6図中のカ・カ上に置く。

以上のように設置が完了したらウ・ケの口から炭火を投入すれば(コークスと炭同量を混ぜて使う。理由は炭が火をおこしコークスが熱を生ずるからである。火力は強過ぎず弱過ぎずが良い)カペルレー中の鉛と銀合金は熔融してフツフツと音を発し、混合物と鉛はカペルレーに吸収されて表面に色彩(すなわち虹色銀電)が生じる。この銀電が鎮まると、光沢を発して赤熱して凝固する。これが純銀塊である。

次にその金位・銀位によって加えるべき鉛の量を示す。
ただし予め合金中に何割の混合物を含んでいるか検査しなければならない。

合金中の純金の割合_加えるべき鉛の割合
10_8
9_12
8.5_16
7.5_20
6_24
3.5_28
3_30
2_40
後はこれに従う。

合金中の純銀の割合_加えるべき鉛の割合
9.5_4
9_6
8.5_8
7.5_12
6.5_14
6_16
以下、これに準ずる。
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金・銀の合金から純金・純銀を精製する、西洋での方法が説明されている。基本的には日本での精製法と同じだが、こちらの方法なら一度に多量の金・銀の精製も出来そうだ。カペルレーの語源は解らなかった。器物などにはその考案者などの人物名が付けられていることが多いので、調べるのも一苦労だ。モッフルについては、もう少し前だったら何かしらの手がかりを掴めたかも知れないが、今となっては別のものの名称として流行してしまっているので調査困難だ。興味が有ればモッフルで検索してみると良い。なかなか美味そうなものだ。

同日追記*

カペルレーはどうやら英語のcapillary(毛細管)のことのようだ。ぴったりと来る言い回しや物品は見付からなかったが、繊維質や多孔質の素材の説明にcapillaryという語が使われるのは珍しくはないようである。

さらに追記*

「拇」(手偏に母)について親指の太さというように解釈してしまったが、後に調べると単純にcm(センチメートル)の日本語の当て字だということが解った。

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