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職人と健康

職人は身体が資本、健康第一だ。病気がちで仕事を休んでばかりいる職人というのは、たぶんいないだろう。私自身、修業中から現在に至るまで、ほとんど仕事を休んだことが無い。最近では休日は休むようになったが、数年前までは社員が休みの日曜祭日、盆暮れの休日にも仕事をしていたものだ。一般の方には過酷に思われるかも知れないが、同業者には当たり前のことだと言われるのではないか。ジュエリー職人をやるというのは、そういうことなのだ。

特にがっしりした体格でもないが、私は身体が強い。一見ひ弱そうに見えた学生時分から、大した病気をしたことがない。大人になり毎日たくさんの酒を飲むようになってからも、健康診断などでは極めて良好な健康状態だという結果が出る。生まれつき強く出来ているのだろう。
わずかに身体のことで悩まされていたものがあるとすれば痛風と肩こりだが、それらにも有効と思える対抗策が見付かった。

はじめて痛風の発作が出たのは、5年前だったろうか。痛風に関する知識が全くないので、足の親指の骨を骨折したのかと思った。違和感を覚えはじめてから半日程度で、見る見る関節付近が腫れ上がって、どうしようもない痛みが襲ってくる。痛みは非常にゆっくりした周期で強く弱く変化する。痛みはじめると声も出ないような状態で数分(か十数分)我慢し続けなければならない。
それ以後は、およそ一年に1回は痛風の発作が出るようになった。大体は仕事中に「違和感」という前兆があって、その夜に痛みはじめる。ろくに睡眠もとれず、翌朝は靴のヒモを全部抜いてしまわないと足が入らないほど腫れ上がる。足先を下ろせば痛むから、かかとの下に小さく畳んだハンカチを押し込んで、かかとだけに体重が掛かるように工夫して歩く。痛みのピークは3日ほどで、完全に治まるまでは一週間掛かる。これはとても不便だ。

昨年のこと、例によって仕事中に痛風の前兆が出た。これでまた一週間、痛みと共に暮らすのかと思ったが、考えようによっては1年間発作が出なかったのだから「まぁいいか」の心境である。その夜、いつものように痛みはじめたが、なぜか耐えられる程度の痛みで睡眠もとれた。翌朝、足は腫れていたが、我慢すれば歩けないことも無い。今回は軽いのか?そんなこともあるのか・・とキツネにつままれたような気持ちでいたのだが、仕事中に痛みは更に減り続け、仕事が終わる頃にはほとんど治ってしまった。頭の中は「?」がいっぱいである。
簡単に治ってしまったのだから喜べばいいのだが、性格だ。なぜだろうと考えて思い出した。痛風の前兆が出てから帰宅した、その夜にアメリカンチェリーを食べている。それぐらいしか、いつもと違うことはしていないのだから、何か原因があるとすればそれだろうと当りをつけて調べてみた。

すぐに夕刊フジBLOG|痛風、関節炎の痛みに効く「アメリカンチェリー」というのがヒットした。記事を読んでみて納得した。まだ調査中ということだが、自分が体験しているのだから信じるしかない。私がアメリカンチェリーを食べたのは、痛風の発作が始まってからだ。即効性があることも確かだろう。

あとは肩こりだが、これも一時期は病気と言ってよいほど酷い状態だった。いつでも首から背中にかけて堅い板が入っているような感じで、横になっても痛むほどだったのだ。休みも取らずに仕事ばかりしていたのだから、当然とも言えるかも知れない。危険を感じて、これを完全に元に戻すのに一ヶ月ほど掛けた。心身のリラックスだ。もちろん仕事にならないが、このときばかりは必要を感じた。
完全に体調が戻ってしまうと、今度は小さな肩こりというものに良く気が付くようになった。いつも酷く凝っている状態では気が付かないはずのものだ。この小さな肩こりというのは身体からのメッセージのようなものだから、ちゃんと受け取ってやれば良い。わかったわかったと受け止めて、しばらくじっくりとその肩こりを感じていてやると、これは嘘のように消えていく。消えていく感覚は暖かくて、とても気持ちが良いものだ。小さな肩こりを感じたら覚えておいて、一人になれる時間にちょっと相手をしてやれば良い。数分のことだ。医学的な根拠は有るような無いようなとしか言えないが、現在のところ私には肩こりは無い。

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