聞き慣れない呼称かも知れない。戦災建造物とは戦争の痕跡を残したまま保存されている建造物のことで、原爆ドーム、ひめゆりの塔の沖縄陸軍病院第三外科壕など、その数は多くない。戦災に遭った建造物は破壊されて消失するか、建て直されるかしてしまうからである。
写真は東大和南公園の敷地内に保存されている旧日立航空機立川工場変電所の外観だ。ここで変電された電気は隣接する立川発動機製作所に送られ、そこで航空機のエンジンを作っていたのだという。そのため3度に渡る機銃掃射、爆撃に遭い工場は壊滅、この変電所のみが奇跡的に残った。ここで亡くなった方は110余名にのぼるということだ。
史跡戦災建造物という呼称が使われているのは、この建物を後世に残す目的で東大和市が史跡に認定したためだ。
休日は家族連れなどで賑わう公園の一画に建つこの建物は一種異様でもあり、初めて見た時は背筋が寒く感じるほどであった。しかし戦争を知らない世代にとっても「二度と繰り返してはならない歴史」を実感させるには充分だろう。平和な明るい声に満ちた公園の様子と対比させざるを得ないのが、その感を更に強めるのかも知れない。
