どこまでを「宝石」と呼ぶのか定かではないが、使わない宝石類が眠っている工房は多いだろう。匠工房の場合は、会社で購入したというより私個人の趣味で買った趣が強い。
使う当てが無くとも「安いな」と思うと、つい買ってしまう時期が有った。もちろん景気の良い頃で経済的な余裕が有ったし、経済に活気が在る時というのは町中にもお買い得品が溢れているものだ。
購入の動機が「安いな」であるから高額な宝石は無い。ただキラキラと色とりどりに輝いているのが楽しいのだ。種類ごとに分けているのはジュエリー教室で役立てるためで、本来は混ぜこぜにゴチャッと有る方が楽しい。
以前は「宝飾」と言うと使う宝石も限られていた。ダイアモンド・ルビー・サファイア・エメラルド・オパール・ヒスイ・・・等々、それにキャッツアイやアクアマリン、アレキサンドライト・・。限られていたといっても結構有る物だが、宝飾の基本的な意義が「宝」であるから耐久性の無いものは好まれなかった。
オパールなどは耐久性が無い宝石の代表格のようなものだが、他には絶対に見られない遊色の希少性が尊ばれたのだろう。
最近は宝飾の仕事をしている私でも知らない石が多い。相談などでも知らない石の名前を出されると、その都度調べなければならない。勉強にはなるが、実際に扱ったことのない石の性質は分からない。
硬度の高い貴石ばかりを扱っていた頃は、たまに扱ったことのない硬度の低い石を留めるとよく割った。石の硬度に依存して、しっかりと押さえ込むのが当時の留め方だったから「こんな石は留められない」とさえ思ったものだ。
硬度の低い石や割れ・剥離しやすい石が多くなってからは、石留めも「押さえ込む」から「包み込む」方法に替わった。それに伴って石枠や爪の作り方も微妙に変わった。以前に比べると「こんな石」も上手く留めるようになったものだと思う。
