雑巾のようなものの上に置かれているが、金だ。何度もなましながら成形、ロウ付け、硫酸で煮沸などしていると新しい金もこのような色になる。煮沸前などは真っ黒で、知らない人はまさか金だとは気付くまい。
地金板を半パイプ状に丸めて、アールを付けてから切り込みを入れて折る。このような形状はワックスで作った方が簡単だが、ワックスの場合は板厚0.5mmというのが非常に薄く感じる。板厚を均等に抑えて作るなら、地金から作った方が確実だろう。
今回地金で作ったのは、納期的な問題からである。キャストは外注なので、納期に間に合わせるためには逆算して何日までにキャストに出さなければならないかが決まってくる。簡単とは言っても他に幾つもキャスト品がある場合、優先順位からやっていると間に合わなくなるものが出てくる。それは地金から作らざるを得ないのだ。
しかし実際に出来上がってみると、やはり地金から作ったものの方が品がある。スッキリしていて気持ちが良い。だから出来るだけ地金から制作したいのだが、昨今の加工賃では中々難しいのだ。いつか趣味でじっくりと手作りが出来るような環境を手に入れられないものかと、贅沢な夢を見る。