ジュエリーを扱う職業では、指輪のサイズ直しは避けて通れない問題である。フルオーダーで制作するならご注文者の指のサイズにぴったりのリングを作れるが、購入者が決まっていない制作においては普通サイズ(各社異なるが#11から#15くらい)で作ることになる。
作られたリングは購入者が現れたとき、その方の指のサイズに合せてサイズ直しをする必要が有る。これが意外に難しい作業なのだ。
まずサイズ直しを依頼される商品というのは、間違いなく購入者が既に決まっている商品だ。万が一にも宝石の破損などが生じれば、販売者に与える金銭・信用の損失は大きい。また購入を予定されていた方も、がっかりしてしまうだろう。
簡単にサイズを直せるような商品も多い。主に華奢なリング、大きな宝石が入っていないリングがそれだが、そのような商品のサイズ直しは、うちのような工房に依頼されることは少ない。サイズ直し専門の業者もいるのだ。
だからうちのような所に依頼されるサイズ直しは、専門業者では難しいもの、危険なものということになってしまう。必然、高額な商品が多いので、失敗は万に一つも起こせない。
実際にやる作業は、切って縮めるか間に地金を挟んでロウ付けする。綺麗に仕上げる・・だけである。作業は単純だが危険度が非常に高い仕事だ。
サイズ直しは技術だけではない「カン」のようなものが必要になることも多い。「いけるか?」・・「いや危ない」「いける!」と判断しているのは、自分の中のいったい何者であろうか。そのカンに従って作業手順を決めているのだから不思議といえば不思議だ。