古い工芸書の引用が多いが、このような技法というものは公表されるに及ぶまでに数多くの失敗と研さんが積み重ねられたものであるに違いない。簡単にさらっと書いて有るからと言って、さらっと読み流してはいけない気持ちにさせられるものである(古い文章を読んでいると、文体に影響が出るようだ)。
「ガラス接合用合金」
錫95分と亜鉛5分よりなれる合金は200度の熱において熔解しガラスに確と粘着して剰え改変し得べからざるものとなり美麗なる金属色を有するに至る。また更に錫90分と「アルミニウム」の10分より成れる合金は390度の熱において熔解しガラスに強く蝋付けされ甚だ堅固にして光彩を有するに至るべし。しかしこれら二合金を使用する方法は先ず蝋付けすべき二片のガラスを炉中において熱しその表面を蝋付けの棒を以て磨り合金の次第に熔融するに従いて紙の栓あるいは一条の「アルミニウム」を以て平坦に配布し徐々に冷却せしむるに在り。また通常蝋付け用の鉄を以てこのガラス用合金を熔解するに使用するも可なり。
・・読みにくいだろうか。
この様な工芸書には技法の主立った部分だけが簡易に書かれ、詳細の説明は省かれるのが普通だ。だから想像力が必要になる。言い換えれば考えることを生業とする職人業の者が読めば、これだけでも充分に意が読み取れる仕組みになっている。
ガラス同士を合金によって炉中で接合する方法だ。「たしかそんなことが書いて有ったぞ」程度でも、記憶に残しておけば後に役立たないものでもない。しかし技法は全て「技」の伴うものであるから、簡単にできるとは考えない方が良いだろう。なにごとも修練だ。