ろくな当金を持っていないので、矢坊主(やぼうず)を木台に立てたりして地金を叩く。余裕が有るときに揃えておけば良かったと思っても、後の祭りだ。普通サイズのジュエリーでは使用することは皆無に近いから、仕方ないかも知れない。
低い丸太は杉材だったか、ケヤキには比べようもないが腰掛けるにはちょうど良い大きさだ。余計なことを考えるより地金板でも叩いていた方がマシというものだろう。リズムのようなものが有って、気が乗ってくるとリズムから抜け出せなくなる。時折なましを入れるときが、腕の筋肉の休憩時間だ。
昨日の雪は溶けて、通勤の途上は溶けかけたかき氷のようにびちゃびちゃと冷たい。歩きながらいつも思うのは「車がいなければいいのに」という勝手な妄想だ。特に雨や雪の日の車の騒音は、堪え難いものが有る。あまり車の走らない休日の早朝、朝日に浮かぶ町の清々しさを知っているだろうか。なんでも掻き回せば良いというものではない。