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  大谷 正明(おおたに まさあき)
    (有)匠工房 代表取締役
ジュエリー制作のことや私が住む東京都武蔵村山市周辺の地域情報など

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「金工独修書」金・銀メッキ

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第九 金鍍法(金メッキ)

その方法は先ず器物を良く洗浄して、これを塩酸アンモニア(塩化アンモニウム)1オンスとソロリン澒(文字不明・ソルビン酸のことか)1オンスを硝酸3分で溶解した液中に金箔を入れ攪拌・消化させて油状になった溶液中に差し入れて、取り出した後で火にかければ金が鍍着する。

第十 鉄器に金で書画する方法

第八法(王水とエーテルを使用するメッキ法)に従って金とエーテルの混合液を作り、これをラクダの毛で作った筆に浸して、良く磨いた鉄器に書画した後に火であぶれば随意の書画を金メッキすることが出来る。

第十一 金鍍法(金メッキ)

純金を陶製の鍋に入れ王水を注いで加熱した(純金が王水に溶け込んだ)溶液に綿布を浸して溶液を充分に吸収させ、取り出してから火で焼いて灰にしたものをキュルク(ただし塩水で湿らせたもの・キュルク=コルク)につけて銀や銅の器物をこする。

第十二 金鍍法(金メッキ)

王水7勺(しゃく・1勺は0.018リットル)に純金4匁(もんめ・1匁は3.75グラム)を入れて温めれば溶解する。これに水15盃(盃=さかずき1杯=30ml程)と炭酸ローク塩(炭酸塩の一種か)5オンスを加えて火に乗せ、この液中に良く磨いた器物を入れる。

第十三 銀鍍法(銀メッキ)

酒石(酒石酸水素カリウム=ワインの醸造過程で生じる)4匁、銀カルキ(塩化銀であろうか)2スクペル(不明な単位)、ミョウバン1匁をよく混合して細かい粉末にする。この粉末で磨かれた銅や黄銅(真鍮)の器物をこする。

第十四 銀鍍法(銀メッキ)

まず器物を同量のミョウバンと酒石を水で溶かした液中に入れて煮沸し、これに硼砂8匁と昇澒(不明な文字・・硝酸か)5分、銀カルキ2匁を混ぜて水に溶かしたものを塗って火であぶる。

第十五 銀鍍法(銀メッキ)

酒石と食塩を水に溶かした液で器物を煮沸した後、乾燥させて、稀硝酸と銀アマルガムを塗布して火で熱すれば、すぐに鍍着する。
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延々とメッキ法の説明が続く。ちなみに、これで終わりではない。次回もメッキ法の説明になる。

この辺りの説明を読んでいると、量の単位が不統一で非常に判りにくい。おそらくは序文で述べていたように、他の本や資料などから書き写したり、或いは知人から聞き書きしたのではないかとさえ思える。読んでいて、テオフィルスの「さまざまの技能について」という技法書を思い浮かべたのは私だけであろうか。
「さまざまの技能について」は確かルネッサンス期の工芸の技法を我が子に伝えるために書かれたものであったと記憶しているが、詳細な技法の説明が、或る部分で突然あやふやな説明に代わり文体も変る。著者が又聞きした話を、そのまま書いた部分だからだ。

文中「澒」(読みは「こう」・使用フォントによっては表示されないだろう)は、どういう意味合いで使っている文字か、ついに判別出来なかった。スクペル或いはススペルも不明である。

この部分は、資料として一応掲載したというに過ぎないだろうと考えている。何より、技法を分類しておらず整理もしていない。
しかし、当時の工芸家が様々な技法を試みていた様子は判る。現在でも企業秘密などと言って、技法を他に教えない職人は多い。だから必然、個々の職人が工夫して技法を生み出していくことになる。似たような技法でありながら部分的に違うといったような技法は、そうして生まれるのだろう。

そういう意味では、門外不出の技法を調べ上げ・聞き出した著者の功績は大きい。

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