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  大谷 正明(おおたに まさあき)
    (有)匠工房 代表取締役
ジュエリー制作のことや私が住む東京都武蔵村山市周辺の地域情報など

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「金工独修書」色上げ・燻し

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今回から題名に内容を書き添えることにした。番号を振っていても、あとで「あれは何番に書いたか」と自分でも探すのに苦労しそうに思えたからだ。以前に書いたものも、順次直していく予定だ。
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第六 赤銅の色上げ法

この色上げには2つの方法が有る。
赤銅の色上げには脱脂が最も重要である。
1)まず赤銅を充分に灰汁で煮て脱脂を行い、さらに梅酢で良く洗う。胆礬(タンバン=硫酸銅)2.25グラム、緑青(ロクショウ=炭酸銅)1.5グラムを水900ccに溶かして銅製の鍋に入れ、この中に先の赤銅を入れて、黒くなるまで煮る。

2)奈良緑青7.5グラム、米酢90cc、水180ccを(使おうとする日の)十日ほど前から混ぜて壺に保存しておく。この液に前述のように脱脂した赤銅を入れて、黒くなるまで煮る。

第七 銀に嵌め込んだ赤銅の色上げ法

銀に赤銅がはめ込まれている場合、銀を黒色にしないで赤銅を色揚げするには、その器物を一晩(漬物用の)ヌカミソの中に漬け込んでから色上げを施す。

第八 煮黒目(にぐろめ)の色上げ法

良く磨いたニグロメ(銅に3%程度の亜鉛や錫などを加えた合金)を酢10グラム、緑青10グラムを水1000ccに溶かした液の中に入れて銅鍋で煮る。
また普通の銅製品をこの液で煮ても色上げ出来る。

第九 銀古びの方法

一般に「ふるび法」と称して銀の器物を薄黒い紫のような色にしているものが有る。この方法は良く磨いた銀の器物に胆礬(タンバン=硫酸銅)と塩を水で練ったものを盛って、しばらく指でこする。

第十 いぶしの方法

色々な金属に炎を利用して黒色を付ける方法を「いぶし」と言う。
まず銅や黄銅、金、銀などに荏油(荏胡麻(えごま)の実を絞った油・植物油)を塗って炎にかざし、黒色になるに従って少しづつ炎の中に下ろし、充分に黒くなったものをテレビン油(テレピン油とも)の冷たい液中に入れると黒色の光沢を発する。
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今回の技法は、実に面白い。銀器にはめ込んだ赤銅の色上げ法で、一晩ヌカミソに漬け込めば良いなどと簡単に書かれているが、相当な苦心の揚げ句に発見した方法ではないだろうか。私自身、現在の匠工房の色上げ技法を完成させるまで、半年間も苦慮した経験が有る。それこそ何でもやってみたものだ。結局はその「何でもやってみた」ことから現在の方法が生まれたのだ。

赤銅やニグロメを使う人は少ないだろうが、銀の古美や燻しは現在でも実用に値する技法だろう。植物油と炎、テレビン油を使う方法は簡単で美しい発色が得られるが、植物油でもテレビン油でも油であるからには可燃性である。何をやるにしても、危険性を充分に考慮した上でやらないと、とんでもないことになる。
たとえば加熱した金属を油に入れる。少量の油は沸騰して気化する。その気体は引火性である。沸騰して吹きこぼれたらどうするか、もうもうと油の湯気が立ち上ったらどうするか、気化した油に炎が引火したらどうするか・・等々、全てを考え対策を決めてからでなければ、絶対にやってはいけない。面白半分にやって火傷をしたり火事になってから後悔しても遅いのだ。

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