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  大谷 正明(おおたに まさあき)
    (有)匠工房 代表取締役
ジュエリー制作のことや私が住む東京都武蔵村山市周辺の地域情報・ホームページ制作

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色上げ・白仕上げ

金の色上げでは苦労されている方も多いだろう。画像が無くて申し訳ないが、簡単に色上げの方法を書いておきたい。この色上げは純金の色を引き出すという古来の色上げとは違って、主にホーニング加工(梨子地・サンドブラスト)の後処理として、金の色合いを明色にするために行われる。

用意するものは苛性ソーダと硼砂。(どちらも薬局で手に入ります)溶液を保存するなら強アルカリに耐えられるふた付きの保存容器。湯煎のための鍋(駄目になっても良いもの)。

容器に湯を入れる。吹きこぼれるので半分ほどがいいだろう。鍋の湯を沸点近くまで上げて弱火で保温する。鍋の中に湯を入れた容器を浸し、湯煎の状態にする。湯温が上がったら火を消し、容器に少しづつ苛性ソーダを投入する。苛性ソーダはプラスチックのスプーンなどで、少量づつ掬って入れる。吹きこぼれる。必至だ。湯煎の鍋は吹きこぼれを受けとめるための容器でもある。

(責任は持ちません。自己責任で試してください。吹きこぼれるので危険と明記しておきます。)

どのくらい苛性ソーダを入れるのか。量ったことはないが目安として、1リットルの湯に200グラムくらいか、もう少し多く。一気に入れると、とんでもないことになるから絶対に少量づつ入れる。

水に苛性ソーダを入れてから加熱すれば・・と言われそうだが、やってみたが何故か上手くいかない。改良は後の方に託す。

苛性ソーダを入れたら火をつけて、湯煎の温度を上げる。軽く沸騰する状態で火を調節して湯温を維持する。
今度は硼砂を加えて行く。これは苛性ソーダほど気を使わなくて良いし危険もないが、様子を見ながら少しづつ加える。目安は1リットルに200から300グラム。もっと入るなら入れて良いが、入れ過ぎるとペースト状になってしまう。ペースト状になったら湯で伸ばす。溶けにくいようなら攪拌して沈殿が生じないようにしながら加える。入れ終ったら冷ます。それで完成。簡単なものだ。

この簡単なもののために半年を費やした。さらにその後の使用方法で半年。そればかりやっていたわけではないから、丸々費やしたわけではないが。

出来た色上げ液は保存可能だ。状態によっては下に結晶が溜まるが、効果に変わりは無い。結晶が出来たものを湯煎に掛けると、ガラス瓶ならば必ず割れる。そのままで効果は変わらないので、容器は諦めてそのまま使うのが賢明だ。

色上げの方法は、まず色揚げをする品物(ホーニング後、洗浄したもの)を用意する。ハンディートーチ、バーナー・・酸素バーナーではなく、カートリッジ式のような炎が太く弱いもので加熱する。加熱の具合としては軽く酸化する程度。最初に焼く主な目的は油分の除去だから、それを念頭に作業すれば良い。焼いたら色上げ液にジュッと浸ける。撥ねることがあるので注意。長めのピンセットが良い。

色上げ液にジュッと浸けたら、すぐに出してまたバーナーで焼く。この焼き方で微妙に結果が分かれる。目安として・・まず焼き始めると液が泡立ち徐々に乾いて行く。乾くと白い粉のようなものが全面に付着した状態になる。さらに炙り続けると粉の白さが消えて金の地肌が見え始める。金の地肌の表面に艶のある透明膜が掛かったようになる。白く残った部分が無いことを確認して火から離す。冷ましてから希硫酸で煮る。洗浄する。以上だ。

全く同じ方法でシルバーなら白仕上げになる。真っ白で綺麗な白だ。それもそのはず、この色上げ液の考えの大本になったのが古来から伝わる銀の白仕上げだからだ。効果としては銅色を消す。だから銀はより白く、金は淡いクリーム色のようになるのだ。

苛性ソーダをベースにしたのは、私が勝手にやったことだ。硼砂は冷めると結晶化して析出する。その結晶化を妨げる目的で苛性ソーダを使ったのだが、それが色上げの結果に某かの影響を及ぼしているか否かは定かではない。

あれこれやってみた結果、特に技術も必要としないで誰がやっても同じような結果が得られる色上げ液が出来たということだ。色上げで困っている方は、まずこれを参考にして、さらにあれこれ研究して自分なりの方法を見付ければ良いと思う。

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玉クラスプ

面白い会社が有った。打ち合せに行く度に何かしら持ち出してきては「こういうの出来ないかな」と説明を始める。以前に企画して中断したものや、一度は作ってみたが上手く行かずにやめたものだ。社長がアイデアマンで様々な新商品の企画をするものの、実際に作るとなると問題山積で実用にならない。

「何とかならないかな」などと言われるとワクワクする性格だ。思わず笑顔で「何とかしましょう」と引き受けてしまう。大変なことになるのは解り切っているが、何と説明したものか、それは別問題なのだ。何とかして見せたくて仕方ないのだ。自己顕示欲が強いのだろうか。

そんな中で持ち出されたのが「玉クラスプ」・・後に洒落た命名がされるが、この時点ではシンプルにそう呼んでいた。球体のクラスプだ。通常、球体のクラスプというと、空洞の球体ボックスにバネパーツを差し込むものしか見当たらない。この玉クラスプはそうではなく、球体が真っ二つに分離して、しかも回転させることが出来るというものだった。「そうすると素晴らしいことが出来るようになる」と目を輝かせて説明するアイディアを聞いているうちに、こちらも胸の高鳴りを押さえ切れなくなってくる。「考えてみましょう」と・・それで実用になるまで半年だ。

連名で特許を取ってくれたが、実はその後さらに良い構造を考え付いて、実際の商品としてはその特許の構造は使われなかった。大ヒットして来る日も来る日も玉クラスプを作り続けていた時期が有った。苦労はしたが充分な見返りもいただいたということだ。

その後も私の頭の中で玉クラスプは進化し続けている。面白いもので、1つの構造が完成するとその時点でもっと良い構造の基盤が出来ているものだ。完成が始まりであることは、何かを考え詰めた経験が有る人ならば理解できるだろう。商売だからどこかで止めて形にしなければならないので、考えに終わりは無いのだ。

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スポット溶接機

ファイル 437-1.jpg 久し振りに使ったスポット溶接機。特にプラチナ製品の手作りジュエリーには重宝する機械で、電極を繋げて瞬間通電でアークを飛ばし点付けできる。ジュエリー制作の上では、スポット溶接は仮付け専用だ。仮付け後に位置や角度を確認、問題が無ければそのままロウ付けに移行する。

スポット溶接は手作りの仮付けに用いる他、キャストものの巣穴埋めにも使うことが出来る。難点は、接触不良などによるショートで、スパークが飛び接点付近の地金が大きく損なわれる。「バチン」と音がして火花が飛ぶので、一度ショートさせるとしばらく使いたくなくなるほどだ。

しかし手作りジュエリーの制作では、ロウ付けの際に固定が難しい形状のときに威力を発揮する。「これは固定が難しいな」と思って「そうかスポットが有ったっけ」と思い出すほどに、最近は使っていなかった。純粋な手作りものの依頼が激減したということだ。

ジュエリー制作は大切な技術で、後世にも伝えたいものだと思う。しかし業界の現状や職人の使われ方を見ていると、もはやそれだけでは成り立たないものとも思える。ジュエリー制作を続ける環境を維持するために、他業による収益を得る必要があるだろう。そこまでしてもジュエリーを作り続けたいという情熱が失われなければ・・・だ。

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電子天秤

ファイル 423-1.jpg
精密計量器・・「はかり」だ。
最小表示量が0.1グラム、秤量300グラムで、大きめのものの目方を量るのに向いている。以前の事務が何度もコードを引っ掛けて机から落として、てっきり壊れたものと思っていたが何故か突然復活した。それ以来壊れていないから、精密機器にしては丈夫なのだろう。

ファイル 423-2.jpgこちらは最小表示量0.0001グラム、秤量40グラムのジュエリー用いわゆるカラット天秤で、宝石のct(カラット)も量ることが出来る。商品名は「電磁式はかり」・・そのままだ。はかりに乗っているのは発泡スチロールにフエルトを貼り付けた皿。商品に傷を付けないようにと間に合わせに作ったものを、そのまま使い続けている。
通常の納品業務ではこのカラット天秤を使って商品目方を量る。最近は無いが、忙しく納品業務をこなしてようやく送り出したと思ったら、この秤の上にリングが1本残っていたというようなことが何度もあった。量ったら先ず商品を戻して、それから数値入力・・と決めているのだが。だから人を雇っているときは納品業務の後に、必ず自分の目で秤を確認したものだ。

ファイル 423-3.jpgこれは電子ではない旧式の上皿天秤。0.05グラムから100グラムまで量れる。仕事を始めたとき最初に買ったのが、この秤だ。皿には鹿皮を張っているが、吸湿によって目盛りが変わるので落ち着くまでに数年掛かってしまった。これだけでも仕事に不自由はしないが、石目を量る必要が有ればカラット天秤(電磁式ではない手量りの天秤も有る)、100グラム以上の計量が必要なら一番上の秤量の大きい秤が欲しいところだ。

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今さらピタゴラス

ファイル 418-1.jpg

制作ノートに書こうかと思ったが、中学生程度の数学だ。書くまでもないと思い直したが、実際忘れてしまっている人は多いのではないかと、こちらに載せておくことにした。三平方の定理あるいはピタゴラスの定理というものだ。

形を作る仕事では、不定形を除外すれば作図が必要になることが多い。作図の基本は言うまでもないが三角形だ。平面図形は分解すれば全て三角形に集約されるからだ。三平方の定理は三角形の辺の長さを求める時に有用な、実務的知識だと言えるだろう。

もう10年以上前のことだが、以前求めて公式にしておいた計算式を失念して、再計算で求め直そうとしたことが有る。前は出来たはずの計算が、どうしてもできない。四苦八苦した揚げ句に当時大学生だった長男に聞いてみた。さらさらと簡単に解くのを見て「なんでそんな簡単にできるのか」と問うと「三平方の定理」だと言う。ああ、そんなのが有ったな・・聞くは一時の恥。この時聞かなければ、そのまま一生忘れたままだったかも知れない。

この時の経験から作った公式などを忘れないようにノートに書き留めるようになり、それが後にWeb上でジュエリー制作ノートになったというわけだ。

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不定形の石座

ファイル 407-1.jpg大きな不定形の石座を巻いていると、一人の世界に入り込んで時間を忘れてしまう。たまたま入ったファックスの着信音で我に返って、ついでに一休みだ。1時間半、休み無くうねうねと巻いていたわけだ。

不定形の石座は難物だが嫌いではない。今回のものは大きいので板巾も必要で巻き憎いが、普通サイズの石なら遊びのようで楽しい思いが出来る。極端に鋭角の部分には切り込みを入れるが、基本は手とヤットコで曲げてゆく。100%を目指して、何%で上がるかだ。手作りはそういうものだ。どう足掻いても完ぺきに作ることが出来ないことを知っているから、100%を目指す。

石枠を巻くときは感覚だけで巻くので、別のことを考えていることが多い。形を合せるという作業に頭脳は必要ないようだ。確かに合っていないのは見れば判る。こういうのは3DスキャナとCADで作ると早いのかなと思いながら、いや却って大変かも知れないぞと考える。完ぺきに合っていなくても「合っている」と認識できるのが人間の感覚の素晴らしいところだ。さて、再開。

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