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  大谷 正明(おおたに まさあき)
    (有)匠工房 代表取締役
ジュエリー制作のことや私が住む東京都武蔵村山市周辺の地域情報・ホームページ制作

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「金工独修書」水・酸素製法

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水素の製法

水素の製法は様々な方法が有るが、今ここに挙げるものは硫酸と亜鉛を用いる方法である。
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第十一図のイはガラス製の二口ビンで、ニは希硫酸を注ぐ漏斗管、ハはビンの底に達する曲管でロの管を塞ぐことによってビン中の液体を排出することが出来る。そうしてまた更にニ管から新たに希硫酸を注入することで効率良く連続してガスの発生を得ることが出来る。ロは水素の貯気器につなげる曲管である。
このビン中に亜鉛の塊を入れ、ニの漏斗管から希硫酸を注ぎ込めば、ビン中はすぐに沸騰状態となって水素が発生する。


酸素の製法

酸素の製法も様々有るが、次に挙げるものはコロール酸カリウム(塩素酸カリウム)を使ったものである。
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第十二図の装置のイはアルコールランプ、ロはレトルト(十二図のような形状のガラス器具。蒸留に用いる)で中に同量の塩素酸カリウムと、白砂・少量の過酸化マンガンを混ぜたものが入っている。ハはレトルトからニのカリウム液を満たした洗浄ビン中の底に達した曲管で、ホは酸素の貯気器に繋げるための曲管である。
この装置のイに火をつけてレトルトを熱すれば、酸素が発生してハからニのビンを経てホから発出する。

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水素と酸素の製法について、それぞれ一つづつの方法を説明している。発生した酸素を通すカリウム液とは、水酸化カリウム溶液であろうか。詳しい説明が省かれているが、レトルトの中で発生した酸素に含まれている不純物を取り除く必要が有るということなのだろう。

水素は可燃性の気体であるし、塩素酸カリウムは危険性の高い薬品だ。化学の正しい知識を持たずに実験しようとするのは避けた方が良いだろう。

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「金工独修書」白金の熔解

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第十図はバーナーの断面図でAは酸素の貯気器(ボンベ)に連繋する部分、Bは水素のボンベに連繋する部分で、A管が周囲を取り囲み、A管から噴出する酸素の倍量の水素を噴出する装置である。
この作用を試みるには甲と乙の中に水を満たしてリ・ヌのバルブのみを開いてル管を水素の発生器に繋げ、ヲ管を酸素の発生器に繋げる。
それによって器中の水はガスのためにリおよびヌ管から流出する。

ファイル 124-3.jpg その水の量から器中にガスが充填されたことを確認したら、ル・リ・ヲ・ヌのバルブを閉めて、丙と丁の容器中に水を満たしホ・へ・ワ・カのバルブを開けば、水は甲および乙の中に注ぎ込まれ、水素は甲からワを経過して、酸素は乙のカを経過して第十図のバーナーから噴出する。
そしてこの噴出したガスに火をつければ青色無煙の炎を発して燃焼し、極めて高温の熱を発する。この炎の中にプラチナを挿入すれば、速やかに熔融するものである。
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前回に引き続き、プラチナを融かすための装置の説明だ。火口に当たる部分の図は明瞭でなかったので、拡大して修整してある。火口部分から燃焼材と酸化材を別々に噴出する仕組みの、いわゆる2重管バーナーだ。ボンベ(貯気器)部分の説明は難解だが、図と比較しながら読んでみると「なるほど」と頷ける。

ボンベ内に先ず水を満たして、内部の空気を追い出す。次にそれぞれのボンベに酸素・水素を送り込み、それが充分にボンベ内に満ちたことを内部の水量によって確認する。その後、ボンベを密閉して上から水を注ぎ込むと、注ぎ込まれた水によって内部の水素または酸素が押し出される。単純のようだが、実に見事な発想であると言えよう。

それぞれのボンベに送り込む水素・酸素は、別の発生器によって作られている。次回はこの発生器の説明に入る。

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「金工独修書」金属の熔解

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熔融術

第一 金属の熔融法

金属はプラチナ以外は炉の中で熔融できることは広く知られているが、ここに大要を記述する。
その方法は金類を坩堝に入れて炭火の中に収め、ふいごで炭火に空気を送り込めば熔融する。これに硼砂を少量投入してから冷ます。

第二 プラチナ熔融法
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プラチナは耐火力が最も強い金属なので、炭火の中に入れて何日も置いても一向に酸化することなく、またいくら強く熱しても依然として熔融しない。しかし水素と酸素の混合ガス(爆鳴ガス)の炎によって、初めて熔融するものである。
したがって(プラチナを熔融させるためには)適した道具を作る必要が有る。
そしてこれに使用する装置は「ガスふいご」というもので、次にその作用を述べる。

第九図に示したものは水素および酸素のボンベで、第十図はこの2本のボンベに繋げたフイゴ口(吹管の火口)を拡大したものである。
第九図中の1は水素のボンベ、2は酸素のボンベで、普通は銅または亜鉛で作る。
甲乙は数個の副管を持つ円筒でイ・ロの支柱で丙丁の漏斗型の容器を保持する。ハは甲と丙、ニは乙と丁に連結した管で、それぞれにバルブがついている。ト・チはボンベの中のガスの量を量る装置である。リ・ヌは水を排出するため、ル・ヲはガスの発生器に繋げるため、カ・ワはガスを噴出させるための管である。
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金属の融かし方が説明されている。この部分は「融かし方」というよりむしろ、高温でしか融けないプラチナを溶かすための装置の説明に主眼が置かれているようだ。説明部分が非常に長いので、途中で区切ってしまった。続きは次回の説明を待たれたい。

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「金工独修書」西洋の金銀製法

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ファイル 121-2.jpg また欧米などで用いるものは第6図に示すようなもので、これはその断面図である。
図中アは鉄製の缶で、内面は烈火に耐えられるように泥土をおよそ三拇(「手偏に母」ぼう・・・親指3本ほどの厚み=一般にcmセンチメートルを表す)ほど塗布したもので、ウ・イ・ケの三扉を備える。この三扉は内部の温度を変化させるために使うと共に、ウ・ケは炭を投入するのに使い、イは第8図の熔融室を入れるのに使う。キは空気を流通させるためと灰を除去するために使う。
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第7図は粗鬆(そしょう・・・素焼きのような多孔質)の物質で作った器で、洋名ではこれをカペルレーと称し(カペルレーは獣骨で作ったもので(羊骨を最上とする)これを作るには白骨(生の骨の時は熱湯で数回煮沸して脂肪や膠質を除去して使う)を、穴を空けて空気が通るようにした土製の坩堝に入れて良く焼き、灰になったものを取り出して乳鉢に移し乳棒で良くすり潰して細粉にする。これに水適量を注いで練り、さらにその面に乾燥した骨灰末を塗布して、型に程よい力で押し付けて約15日間放置して乾燥させる)この中に鉛と銀合金を入れて第8図の熔融室(西洋ではモッフルと呼ぶ)の中に収め第6図中のカ・カ上に置く。

以上のように設置が完了したらウ・ケの口から炭火を投入すれば(コークスと炭同量を混ぜて使う。理由は炭が火をおこしコークスが熱を生ずるからである。火力は強過ぎず弱過ぎずが良い)カペルレー中の鉛と銀合金は熔融してフツフツと音を発し、混合物と鉛はカペルレーに吸収されて表面に色彩(すなわち虹色銀電)が生じる。この銀電が鎮まると、光沢を発して赤熱して凝固する。これが純銀塊である。

次にその金位・銀位によって加えるべき鉛の量を示す。
ただし予め合金中に何割の混合物を含んでいるか検査しなければならない。

合金中の純金の割合_加えるべき鉛の割合
10_8
9_12
8.5_16
7.5_20
6_24
3.5_28
3_30
2_40
後はこれに従う。

合金中の純銀の割合_加えるべき鉛の割合
9.5_4
9_6
8.5_8
7.5_12
6.5_14
6_16
以下、これに準ずる。
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金・銀の合金から純金・純銀を精製する、西洋での方法が説明されている。基本的には日本での精製法と同じだが、こちらの方法なら一度に多量の金・銀の精製も出来そうだ。カペルレーの語源は解らなかった。器物などにはその考案者などの人物名が付けられていることが多いので、調べるのも一苦労だ。モッフルについては、もう少し前だったら何かしらの手がかりを掴めたかも知れないが、今となっては別のものの名称として流行してしまっているので調査困難だ。興味が有ればモッフルで検索してみると良い。なかなか美味そうなものだ。

同日追記*

カペルレーはどうやら英語のcapillary(毛細管)のことのようだ。ぴったりと来る言い回しや物品は見付からなかったが、繊維質や多孔質の素材の説明にcapillaryという語が使われるのは珍しくはないようである。

さらに追記*

「拇」(手偏に母)について親指の太さというように解釈してしまったが、後に調べると単純にcm(センチメートル)の日本語の当て字だということが解った。

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「金工独修書」銀の分析法

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第三 純銀の製法

銅その他の金属を含有した銀合金から純銀を精製するには、熱・湿の二つの方法が有る。熱法は従来から用いられていた方法で、炭火の力で混合物を骨灰中に吸収させて分析する。湿法は薬液の作用で溶解して分析するものである。

湿法

その方法は先ず銀合金を陶製の鍋に入れ、これに硝酸を注ぎ入れて弱火で熱すれば黄色の煙を発して溶解し青色の液になる。その後、およそ2〜30倍の水で希釈し、銅片を差し入れて1日ほど放置すると、銀は銅片の周囲に白色粗鬆様(多孔質の海綿様)の沈殿となる。
これを紙で濾し取ってよく洗った後、乾燥させて坩堝に入れ炉の火で熔融すれば純銀塊が得られる。

また銅片の代わりに食塩水を注入すれば(白色沈殿が生じなくなるまで加えた食塩水の量によって、予め銀の量を知る方法が有るが省略する)すぐに銀は還元して塩化銀の白色沈殿が出来る。これを回収して乾燥させ坩堝に入れて炉火中で熔融すれば純銀塊になる。
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熱法

俗に灰吹き法と呼ばれるもので骨灰中に不純物を吸収させる方法である。
まず骨灰と松灰同量を良く混ぜ、これを素焼きの容器に一杯に入れて掌で押し付けて平らにし、かつ中央を皿状にくぼませる。
用意が出来たらくぼみに銀合金と鉛を置いて(第5図はこの断面を示したものである)灰の上およそ1インチ(2.5cmくらい)のところに鉄棒を架け渡して炭火を乗せられるようにする。

次に炭火を乗せて空気を煽ぎ入れれば、銀は鉛のために高温にならないうちから熔融して、不純物は鉛と一緒に灰中にしみ込んで徐々に分量が減り、最後には純銀だけが残留する。

この製造中、途中の段階で表面に皴が生じ赤熱して凝固することが有る。これは鉛の欠乏によるものだから、すぐ新たに鉛を加える。
そのようにして表面が虹色銀電を表し光沢を発するようになったら、炭火をどけて放置して冷ます。表面に光沢の無いものは純粋な銀ではなく、製法が十分に行われなかったものである。

しかし熱法は銀合金の中に金が含まれている場合、これを分離することが出来ないので、更にまた湿法を行う必要が有る。
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この後、欧米で行われる分析法の説明に入るが、長くなるので一旦ここで区切りを付けておく。

久し振りに読んだからだろうか、この部分の説明は妙によどみなくスラスラと書かれているように感じられた。文章自体が軽快である。「虹色銀電」という語は著者の造語であろうか。いくら調べても類似の表現は見付からなかったが、様子が目に浮かぶがごとき達者な表現だ。
「その白色沈殿の生ぜざるに至りて止む。この塩水を点ずる量により予めその銀の量を知る方法有れどもここに略す」などは恐らくこの著者自らの知識だろう。

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「金工独修書」金の分析法

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分析法

第一 純金の製法

銀や銅、その他の金属を含有した金合金の分析には二つの方法が有る。一つは合金に更に銀を加えて熔解し、純金だけを残留させる方法で、もう一つは合金を王水で溶かした後、還元法によって純金を沈殿させる方法である。
しかし錫や鉛を多量に含むものは一度灰吹き法を行う必要が有る。

(1)まず金合金(検察法により純金比率が3分の1以上であることが分かった時は、さらに銀を融かし加えて硝酸の腐食作用を試みるべきである)を陶製の鍋に入れ濃硝酸を注入して(弱火で)加熱すると、合金の混合物が溶け出して黄色の煙を発して青色の液になり、金は赤褐色の粉末になって容器の底に残留する。

この粉末を回収して湯で良く洗浄し、乾かしたものを坩堝に入れて炉の火の中で熱して熔融させれば純金を得ることが出来る。

そして青液中には銀や銅などが含まれているので、還元法(次を参照)によってこれを沈殿させる。

(2)金合金の塊を陶製の鍋に入れて王水を注入し、これに微熱を加えるとすぐに溶解して液になる。それに水を加えて希釈し、この液中に硫酸亜酸化鉄(硫酸鉄)を投入すると褐色の沈殿が生じる。この沈殿を回収して炉の火の中で熱して熔融させれば純金を得ることが出来る。

第二 プラチナの溶解および還元法

プラチナは金と同じく王水以外のどの酸類にも浸食されることは無い。
その方法はまずプラチナ合金を陶製の鍋に入れて王水を注ぎ加え、ゆっくり加熱すれば溶解して液になる。これを還元するにはその液中に磠砂(ろしゃ=塩化アンモニウム)の水溶液を注入すれば塩化アンモニウム白金の沈殿が生じる。この沈殿がプラチナなので、これを熔融すれば純プラチナの塊が得られる。
よってこれを展延して必要に応じた器物を制作することが出来る。

しかしまたプラチナは銀を多量に混ぜれば、銀の中立ちによって濃硝酸にも溶解する。
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金とプラチナの分析・還元の方法が書かれている。現在では優秀な分析専門業者がしのぎを削っているので、これらの専門業者に依頼してしまうのが多いだろうが、知識として知っておくのは良いことだ。

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