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  大谷 正明(おおたに まさあき)
    (有)匠工房 代表取締役
ジュエリー制作のことや私が住む東京都武蔵村山市周辺の地域情報・ホームページ制作

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工賃計算書

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最近使わなくなったものに「工賃計算書」がある。文字通りジュエリー制作(主に原型から量産)の加工賃を算出するためのもので、必要項目を入力すれば原型代、量産工賃、一点物の場合は手作り工賃が自動的に計算されて表示される。

修整に修整を重ねて手計算の場合と同じような結果が出るようになって実用化したが、それでも現実的でない計算結果が出ることも有り、さらに修整を重ねた。結果として計算式は本人にも理解できない複雑な仕組みになったが、満足出来る結果が簡単に出るようになった。

しかしここ数年の景況から量産商品は影を潜め、ご依頼の内容も変化するようになると更なる修整の必要が生じ、もはや計算式の修整では追いつかなくなって計算結果を直接修整出来る方式を追加した。それでも追いつかなくなり、ついにはレイアウトなどお構いなしに手計算結果と比較するための計算エリアまで作ることになり、計算式は意味を失って「工賃計算書」も使用することが少なくなった。

最近の必要性としては、どのような内容のご依頼であってもスムースに見積金額を提示できるものが有れば便利だが、それも計算に必要な情報が揃っていればということで、情報が揃わない状態では見積金額も出ない。ご依頼者に記入していただく方式の「ご依頼書」のような書式が必要になるだろう。

表計算で作ってからJavaに転記すればWeb上でも使えるものができる。今どきこんな古臭いことをやっている人も少ないだろうが、個人的にはこれくらいで充分だと思う。自分が理解できる範囲内で満足できれば、それが一番だろう。

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シルバー原型

ファイル 331-1.jpg 最近は量産物が少なくなったのでシルバー原型を作る頻度も減ってしまった。たまに地金から削り出しのリング原型を制作したりすると、腕の筋肉が疲労して可笑しくなる。シルバー原型を頻繁に制作していた頃は、腕の疲れなど感じたことはなかったのだ。

ワックスが主流の昨今では、ジュエリーの原型というとワックスで作るものだと考えている人が多い。本来ジュエリーの原型はシルバー(稀に真鍮や銅などを使う人もいるが)の地金から手作りで作り出されるものだ。手作りだから余分な目方が付かず、すっきりとした仕上がりになる。ただし鋳造を経ることから、パーツ同士の接点はしっかりしたものでなければならない。手作り一点物の場合は接点も少量のロウで良いので、手作り物よりはシルバー原形から作られたものの方がやや繊細さに欠けるとも言える。

しばらくぶりにシルバー原型などを作ると、やはりシルバーは難しいなと感じる。金やプラチナとは質が全く違う。別物の感覚で作業に臨まないと思わぬ失敗をすることもある。シルバーを中心に製品作りをしている人は大したものだ。

以前はシルバー原型を作るとき、原型用に調整したパラジウム割のシルバーを使っていた。パラジウムで割ったシルバーは融点も高く酸化もしにくいので、ほとんどプラチナと同じ感覚で原型制作が出来る。一時期パラジウムが高騰してプラチナの価格を上回ったことがある。そのときに原型制作に使うシルバーも、現在の925シルバーに決めた。

925シルバーでの原型制作も最初は苦難の連続だったが、何ごとも慣れるものだ。その内に思い通りに扱えるようになった。しかし金・プラチナより格段に難しいことは変わらない。作業中に「お前は・・」などと地金を擬人化して叱りつけることもしばしば。素直にロウが流れると「それでいいんだ」と褒める。他の地金よりも対話が生まれやすいという意味では、愛すべき地金なのかも知れない。

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ボルトカッター

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どちらが正式名称だろう、ボルトクリッパーとも呼ぶ。全長900mm、36kgで15mm程度の金属材まで切断する能力をもつ。地金屋から購入した6mm角の地金棒を切断するには必須の道具だ。

全長が90cmも有るから、普通のハサミやニッパのように手で持って使うことは出来ない。床に置き片側のアームを足で踏んで、もう一方のアームを両手で持つ。カッターの刃先に地金棒を挟んだら、全身の体重を掛けるようにして両手で持ったアームを押し下げる。体重依存だ。硬い地金などは切れた瞬間にバチンと勢い良く跳ぶことがある。怪我や紛失がないように注意しなければならない。

確か2万円くらいの値段だったように思うが、設立当時にはその金額も中々用意が出来ず、ようやく購入出来たときには大変に嬉しかったものだ。ジュエリー制作に必要な機材・道具は、全て揃えようと思うとかなりの金額になる。200万を用意して独立したものの、あっという間に持ち金は底をつき、その後も稼ぐ端からお金は出ていった。最低でも300万円は見ておかないと、充分な機材は揃えられないと考えた方が良いだろう。

しかしこのボルトカッターにしてもそうだが、一度買ってしまえばほとんど一生ものというのが多い。そのため需要も限定的で、それが値を釣り上げているという側面も有るのだが。

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エメラルド

ファイル 328-1.jpg 久し振りにエメラルドのカット石を扱ったが(無事です。ご安心下さい)、このエメラルドという宝石はジュエリー制作において非常に厄介なものなのだ。硬度は8だから表面が傷つきやすいわけではない。しかし無傷のエメラルドは存在しないと言われるほど、必ずと言って良いほど、他の宝石だったら致命的とも思われるような亀裂を内包している。

亀裂を内包しているのも宝石の特色であろうから、それも仕方がないと思う。最も厄介なのが、この亀裂に施された含浸処理(がんしんしょり)と呼ばれる人工的な処理である。含浸処理とはその名の通り、亀裂にオイルや樹脂などを圧力をかけて浸透させる処理法で、亀裂を目立たなくさせて発色を良くする効果が有る。

浸透させるオイルや樹脂の類いも実は種類は様々で、超音波洗浄で簡単に抜けてしまうものも有れば全く影響しないものもある。しかしロジウムメッキの前処理として行われる電解脱脂では、ほとんどの含浸物質は抜け落ちてしまう。電解脱脂は通電することによって電気分解の要領で付着している脂分を除去する。エメラルドは主成分がベリリウムだから電導性があるのだ。

石留めの際に松脂などで固定することがあるが、この松脂を取り除くために有機溶剤に浸けるのが一般的だ。エメラルドの場合は、この作業にも注意が必要になる。有機溶剤は脂分を溶かし去るので、含浸されているオイルや樹脂が溶け出してしまうことが考えられるからだ。

溶け出してしまうだけならまだ修復の見込みは有るのだが、最近の含浸処理では少々面倒なことが起こる。何を使っているのか・・企業秘密だろうから明らかにはされていないが、確かに見た目は非常に綺麗な発色が得られる処理だ。しかしこの処理がされたエメラルドを有機溶剤に浸けると、亀裂が広がって最悪の場合真っ二つに割れる。有機溶剤の浸透によって膨張する物質で含浸が行われているということだ。

含浸処理の技術は向上しているようでも、今も昔もエメラルドが加工上厄介な宝石であることには変わりが無い。扱うときには充分な注意が必要だ。

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第21回国際宝飾展

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国際宝飾展が来年1月の27日から30日まで開催される。IJTホームページから無料招待券の申し込みが出来るので、行きたい方は早めに申し込んでおくと良いだろう。業者限定ということになっているが、特に企業に属している必要は無く、自分でクラフトマンだと思えばクラフトマンだしデザイナーも然りだ。堅苦しく考える必要は無いと思う。

最近は国際宝飾展に顔を出すことも少なくなった。来場者がかなり減って暇そうなブースが客を待ちかまえているような雰囲気が苦手で、次第に足が遠のいた。こちらはクラフトマンだから、商品を仕入れたりはしないのだ。

随分前になるが国際宝飾展に社員総出で出掛けたとき、たまたまどこかの専門学校の講師だか校長だかがワックス制作の実演をしていて「あんなモタモタやってちゃ・・」などと言ってしまった声が意外に響いて周囲の雰囲気が凍りついて気まずい思いをしたことがある。名のある人だったのだろうか。

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鉄床(かなとこ)

ファイル 313-1.jpg 拘りが有ったのか経済的な理由によるものか忘れたが、会社設立当時まっ先に鉄床を用意した。体裁の良いものが市販されているが、多くは桜材で使っているうちにひび割れるし木質が悪い。

探し回って銘木屋から床柱に使う予定で乾かしていたケヤキの心材を入手した。3mのものを60cmづつ5本に切り分けて、細いもの2本は板に引いて刻印立てや道具入れなど様々に使った。会社の看板も作ったが、設立当初の廃屋に近い建物の壁には似合ったが、今は使わずにしまい込んでいる。

60cmの丸太材3本のうち一番太い1本を自分用にして、使いやすいように加工した。鉄床の位置を中心よりずらしたのは私が木の面を多く使うためだ。ケヤキの木質はねっとりとして加工に向いている。重く安定感が在るので、多少乱暴に扱っても揺れたり跳ね返ったりしない。

心材の周囲の柔らかい部分をそぎ落としただけのごつごつした風合いは、長年使ううちに目に馴染んで愛着が湧くようになる。後に買った市販の桜材はさっぱりし過ぎて好きになれない。ぼーっと考えるともなく物思いにふけるとき、気付くとこの鉄床を見ている。苦楽を共にした相棒だ。安心するのかも知れない。

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